市街地再開発上の鑑定評価

現在、岐阜市内では、9つの市街地再開発事業が進行中、または、計画段階です。

これらに先行する事例として、

  • 「シティータワー43」 JR岐阜駅西地区(平成19年10月竣工)
  • 「大岐阜ビル」 吉野町5丁目東地区(平成17年5月竣工)

が挙げられます。

弊社、専任鑑定士は、以前、所属していた鑑定事務所から引継ぎ、「大岐阜ビル」の従前・従後評価を担当しました。

また、利害関係者であることから、直接評価業務はできませんが、現在、地権者として関わる「北柳ヶ瀬市街地再開発事業」の従前土地評価において、標準地の選定・画地比準・開発利益の取り扱いなどにおいて、当時の経験を活かしています。

平面でおこなわれる区画整理が、街路の整備に伴う減歩を、保留地の売却により補填するのに対し、立体的な最有効利用を促進する市街地再開発では、権利床の取り扱いがポイントとなります。

上述した、「大岐阜ビル」、「北柳ヶ瀬市街地再開発事業」の両事業は、ともに全員同意型の借地権設定方式(通称「土地・土地権変」)を選択(あるいはそうする予定)しており、予定建築物の完成以降も、地権者は地主としての立場を継続することになります。

従前評価は、都市計画決定の段階で、建物補償と別枠の所で、「更地」として取り扱われますが、

  1. 各画地の併合による増価分の取り扱い
  2. 公開空地と引き替えに容積率の緩和を受ける場合の開発利益

について、どこまで価格に反映するかがポイントです。

従後評価は、権利変換の段階で、建物の見込価格をするため、

  1. 原価計算資料に基づく積算価格
  2. マーケット賃料に基づく収益価格の査定

が中心ですが、岐阜駅前の店舗のように、マーケットが不透明な情勢においては、査定価格に対して慎重な配慮が必要です。